4864362394天王寺ミオさんのインタビュー【後編】をお楽しみください!

励みになったのは作家の友人

――デビュー当時と現在とでは心境の変化がありましたか?

天王寺 マンガのお仕事をさせていただき始めて、次、また次とお仕事をいただくうちに、これは『仕事』なのだという意識が強く芽生えた気がします。自分の作品やキャラクターに対して、読者さんから反響をいただいたことも大きかったです。喜びもありましたし、もっといいものを描かなくては、という気負いも生まれました。担当の編集者さんの存在にも影響されましたね。アドバイスをいただくことで違った角度から自分の作品を見ることができるようになったり、自分が作品で描きたかったことが編集者さんに伝わらなかったことで工夫もするようになったし、試行錯誤したり、創意工夫を重ねていくうちに、仕事をしているのだという自覚が生まれたんじゃないでしょうか。趣味の延長ではなくなりました。それが大きな変化だと思います。その頃には、このままプロでやっていきたいと思うようになっていました。コミックスを出していただけたのも大きかったかな。自分のコミックスが書店の棚にあるのを見たときは、感動もあったけれど、気持ちが引き締まりました。

――コミックスを手にしたときは感慨もひとしおで。

天王寺 はい。うわーって思いました(笑)。同人誌とはやっぱり違うし、書店の棚に自分のコミックスがあって、誰かに手に取ってもらえる機会を得るなんて、やっぱり感動しましたね。

――励みになったわけですね。

天王寺 励みという意味では、そばに友人のねこ田米蔵という作家がいたことがいちばんの励みな気ががしますね。デビューしてわーっと駆けあがっていく存在がそばにあって、刺激も受けたし、ぶっちゃけカッコいいと思いました(笑)。もともと同人誌のときから人気があった人だったし、上手いと思って尊敬もしてたけど、自分も同じ商業誌の世界に入って、負けていられないなって刺激を受ける存在になりました

――同人誌時代からのお友達なのですか?

天王寺 そうです。友人の紹介で知り合って、一緒にイベントしたり、ご飯食べに行ったりするうちに仲良くなりました。同じジャンルで活動していたけれど違うカップリングだったので、知り合った頃は彼女の同人誌を読んだことなかったんです。だけど、作品を読ませてもらったら、その上手さにとにかくびっくりして。こいつ、ただものじゃないぞ、と(笑)。

――実力に驚いた。

天王寺 はい。若い頃って多少自意識過剰で、自分の小さな箱庭の中で王様になっている状態だと思うんです同人誌活動をしていることもあって、自分が描いたものを好きだといってくれる人がそばに集まってきたり、知らずに天狗状態になったりするんだけど、そばに突き抜けた実力の人がいると、天狗になってもいられないわけですよ。自分もがんばらなきゃって思える。でも面倒くさいのが、そうやって前向きに刺激を受けてがんばろうと思う自分がいる一方で、ものすごくネガティブにどうせ自分なんてって落ち込んじゃう自分もいる。上がったり下がったり忙しいんです(笑)。彼女はいまでも刺激をくれる人ですね。なので相変わらず、我ながらすごい!とテンションが上がることも、どうせ私なんてって落ち込むこともあるのですが、プロとして描いていきたいという気持ちが強くあるので、落ち込んだままでいられないというか、たとえ落ち込んでも描き続けていくしかないので、がんばっています。描き続けていくことが、大変だけど大切なことだと思うんですよね。


短期連載を始めます

――落ち込みやすいほう
なのですか?

天王寺 そうですね。反省してばかりです。自分が以前に描いた作品を読み返してみて、ここをこうすればよかったななんて思うことはしょっちゅう。でもそれに関してはあまりネガティブには考えていなくて、過去の自分の作品を読んでこの頃のほうがよかったと思うようになるほうがマズイと思いますね。今の自分には直すべきところが見えているということのほうが大事なんじゃないかな。その反省を次に活かしたいなあって。いつもベストを尽くして描いていても、それはそのときのベストであって、そこからほんのちょっとでも成長したらまだ余地があることになる。そういうのびしろを大事にしていきたいと思っています

――今年の目標を教えてください。

天王寺 連載をきちんとこなすということですね。これまでシリーズ連載の形でやらせてもらうことが多くて、はじめから連載らしい連載の形でお仕事させていただいたことがあまりないんです。どちらかというとちゃんと引きのあるような連載をさせていただくことに苦手意識があって、逃げていたところがあったのですが、連載のお話をいただける内が花だといわれて、それもそうだな、と。いままでのような気持ちではいけないと思って、今年ははじめから連載の形を強く意識したものをやりたいと思っていたんですとりあえず6月売りの『マガジンBE×BOY』7月号から短期連載をやらせていただくことになっています。それを自分なりに最後までやり通せたら、もう少し長めの連載もやってみたいと思っています

――今後のご活躍を楽しみにしています。ありがとうございました。

天王寺 こちらこそありがとうございました。